2025年東京に招致される夏季デフリンピック大会の応援は特別なイベントです。デフリンピックを知らない方にもわかりやすく紹介していますので、チェックしてみてくださいね。
デフリンピックとは
デフリンピック(Deaflympics)は、耳の聞こえないアスリートのための国際的な総合スポーツ競技大会です。デフリンピックとは、「デフ」(Deaf)+「オリンピック」の造語で、「耳が聞こえない人のためのオリンピック」として知られています。
デフリンピックは、夏季大会と冬季大会の2種類があり、それぞれオリンピックと同様に4年に1度開催されます。競技のルールはオリンピックとほぼ同じですが、耳の聞こえない人の特性に合わせて様々な工夫が施されているのが特徴です。
初めてデフリンピックが開催されたのは、1924年のフランスの夏季大会。その後、歴史を重ねて現在では世界的なスポーツイベントとして位置づけられています。2017年にはトルコのサムスンで開催された夏季大会には、約3,100人の選手が100カ国・地域から参加し、これまで最大の規模となりました。
デフリンピックでは、競技中の合図やコミュニケーションにおいて、「聞こえない人のための工夫」がされています。例えば、スタートの合図は音ではなく光を使う「フラッシュランプ」や、審判が旗や手の動きで合図を行うなど、「目でわかる方法」が取り入れられているところも見どころです。
競技におけるコミュニケーションも手話や目での合図が主体となり、聞こえる人とは異なる戦略や作戦が必要とされます。耳が聞こえないアスリートがスポーツをする際には、聴覚に頼ることが難しいため、新たな戦略やスキルを獲得する必要があります。
例えば、テニスなどの単独競技では、音による情報の欠如が勝敗に影響することも。
デフリンピックは、聞こえない人と聞こえる人との間にある「目に見えない壁」を取り除く重要な役割を果たしています。そして、日本での開催が実現すれば、聞こえない人々の社会参加や理解がさらに進むことでしょう。
日本はデフリンピックのメダル数でも実績を残しており、国内外での理解とサポートがより一層重要となっています。
2025年デフリンピック東京は記念すべき100周年
2025年11月15日から26日にかけて、東京で開催される夏季大会は、なんと記念すべき100周年を迎える特別な大会となります。
この東京2025デフリンピックは、日本で初めての開催。さらに、100周年を迎える特別な年に開催されることから、その意義はさらに重要です。
競技会場の一つとして、府中市にある郷土の森総合体育館が選ばれており、日本中から多くの観客が競技を見守ることが期待されています。
デフリンピックの歴史
デフリンピックはパラリンピックよりも歴史が古く、障害者のスポーツの歴史においても最も初めに始まった大会なのです。
誕生からの歴史
- 1871年: イギリスのグラスゴーで、ろう者サッカークラブが設立され、世界初のろうスポーツ団体が誕生しました。
- 1888年: ドイツで聴覚障害者スポーツクラブが設立され、その後、ドイツ聴覚障害者スポーツ協会が発足しました。
- 1924年: パリで世界初の障害者の国際スポーツ組織である国際ろう者スポーツ委員会(CISS)が設立され、同時に第1回デフリンピックが開催されました。これがデフリンピックの始まりです。
- 1960年: 国際ストーク・マンデビル競技連盟(ISMGF)が創設され、イタリアのローマで第1回国際身体障害者スポーツ大会夏季大会が開催されました。
- 1985年: 国際オリンピック委員会(IOC)はICC(International Co-ordinating Committee)がオリンピック年に開催する国際身体障害者スポーツ大会をParalympicsと名乗ることを許可しました。
- 1988年: ソウルパラリンピックが開催され、これがオリンピックとパラリンピックを連動させた初の大会となりました。
- 1995年: CISSがIPCから脱退し、以降は独自の道を歩むことになりました。
- 2001年: 「世界ろう者競技大会」が「デフリンピック」に改称されました。
デフリンピックは、1924年にフランスのパリで初めて開催された「世界ろう者競技大会」から始まりました。その後、1955年以降は国際オリンピック委員会からも認知され、2001年には「オリンピック」の名称を使用することが許可されたことで、現在の「デフリンピック」という名称に。
デフリンピックとパラリンピックの違い
パラリンピックとデフリンピックは、障がい者のスポーツ大会ですが、参加できる人や競技の種類が異なります。
パラリンピック
身体障がい者を対象としています。パラリンピックには視覚障がい、肢体不自由、脳性まひ、知的障がいのある人々が参加。聴覚障がい者の競技種目は存在しません。
デフリンピック
聴覚障がい者を対象としています。デフリンピックは、ろう者や聞こえにくい人々が競技に参加します。この大会では、競技中に聴覚情報を得ることが難しいため、視覚や触覚を活用して競技に臨みます。
パラリンピックは身体障がい者を対象とした国際的なスポーツイベントであり、聴覚障がい者はパラリンピックには参加できません。そのため、聴覚障がい者向けにデフリンピックが開催されています。
1924年に国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が設立され、第1回デフリンピックが開催。一方で、パラリンピックの国際パラリンピック委員会(IPC)は1989年に設立されました。ICSDは当初IPCに加盟していましたが、1995年に独自の方針を追求するためにIPCから離脱することに。
この結果、聴覚障がい者はパラリンピックではなく、デフリンピックに参加することとなりました。それぞれの大会は、異なる障がいを持つアスリートに対応するため、独自の競技会として発展しているのです。
聴覚障害パラリンピックに出られない理由
パラリンピックには身体障害や知的障害を持つアスリートが参加していますが、なぜ聴覚障害者はパラリンピックに参加できないのでしょうか?その理由を見ていきましょう。
財政的な理由
聴覚障害者のスポーツ活動を支援するためには、手話通訳やコミュニケーション支援の費用が必要です。しかし、これらの費用を確保することは容易ではありません。スポーツイベントに聴覚障害者が参加する場合、通訳者の手配や設備の整備などが必要になりますが、その財源が不十分であることが一因となっています。
競技の特性と支援の必要性
聴覚障害者の競技参加が増えると、通訳者や適切なコミュニケーション支援を行うための設備などが必要になります。このような支援体制を整えることが難しいため、聴覚障害者の参加を受け入れることは困難とされています。
パラリンピックとの組織的な関係
国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)がデフリンピックの主催団体であり、パラリンピックの国際パラリンピック委員会(IPC)とは異なる組織です。ICSDは、デフリンピックを通じて聴覚障害者のスポーツ競技を推進しています。
パラリンピックには聴覚障害者が参加できる枠が用意されていません。聴覚障害者はデフリンピックを通じて、専用の国際競技大会で競技を楽しんでいます。パラリンピックとデフリンピックは、それぞれ異なる競技のニーズに応えるために存在しており、競技者の特性や支援体制が異なることが理由です。
デフリンピックの種目
デフリンピックでは、様々な競技が行われます。東京2025デフリンピックでは、以下の21競技が実施されます。
- 陸上
- バドミントン
- バスケットボール
- ビーチバレーボール
- ボウリング
- 自転車競技
- サッカー
- ゴルフ
- ハンドボール
- 柔道
- 空手
- オリエンテーリング
- 射撃
- 水泳
- 卓球
- テコンドー
- テニス
これらの競技では、聴覚障害者の特性に合わせたルールや競技方法が採用されています。
例えば、サッカーでは笛の代わりに副審や主審が旗やシグナルでコミュニケーションを取り、水泳では、最後のターンの際に水面をしぶきで知らせます。空手では光を使ってスタートや判定を示すため、フラッシュ機具が使用されるのが特徴です。
このような音での合図が難しいデフリンピックでは応援方法も異なります。
デフリンピックを応援する際には、以下の準備をしておくといいでしょう。
デフリンピックの応援をする際には、耳マーク(みどり色)のものを身につけると、参加者や応援者同士での一体感が生まれます。これは必須ではありませんが、視覚的なサポートとなります。
ペンとノート、または筆談ボードなどの用具を持参すると、会場での応援がスムーズに行えます。客席からの応援も紙とペンで視覚的に応援しましょう。
また、応援している聴覚障害者とのコミュニケーションにも役立ちます。
直接話せる機会がある場合は、UDトークが使用できるデジタル機器を持参しましょう。UDトークは手話を支援するアプリであり、通訳やコミュニケーションの円滑化に役立ちます。事前にアプリをインストールしておくと、当日のコミュニケーションがスムーズにできるのでおすすめです。
デフリンピック概要
正式名称 | 第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025 |
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大会期間 | 2025年11月15日~26日(12日間) |
参加国 | 70~80か国・地域 |
選手数 | 約3,000人 |
競技数 | 21競技 |
東京2025年に開催される第25回夏季デフリンピック競技大会は、世界中から約3,000人の選手が参加する国際的なスポーツイベントです。70~80か国・地域からの代表団が競技に参加し、21種目の競技が行われるアツイ大会を見逃さないように要チェックしてくださいね。
デフリンピックへの応援は、現地へ行けなくてもオンラインでのサポートができます。
デフリンピックの公式ウェブサイトやSNSアカウントをフォローして、選手の活躍や結果をリアルタイムでチェックしましょう。
ハッシュタグを使って、応援メッセージやエールを投稿して選手を励ましましょう。自分の声を届けることもできます。
デフリンピックは、競技の楽しさと共に、参加者や応援者が共に楽しめる国際的なイベントです。競技の特性や応援の方法を理解し、積極的に参加してみましょう!